交流がポイント:ワイヤレス充電の仕組み

最近のスマホではほぼ対応しているワイヤレス充電ですが、私が使い始めたのは最近だったりします。

使ってみて思ったのは、ケーブルのコネクタを意識しなくていいのが便利ということです。私はイヤホンはAirpods、スマホはAndroidを使っていて、それぞれLightning、USB Type-Cとコネクタが違うのでケーブルを変えないと充電できなくて不便です。ワイヤレス充電だとコネクタがいらないので、同じ充電器でどちらも充電できて便利です。私は下の充電器を使っていますが、スマホとAirpodsの両方を同時に充電できるので重宝しています。

ところで、このワイヤレス充電はどういう仕組みで動いているのでしょうか?

ワイヤレス充電は電磁誘導を使ってますよと言う説明はよく目にしていたので、「ふんふん、電磁誘導ね。学校で習ったやつだ」みたいに納得してました。

電磁誘導も重要ですが、実は、ワイヤレス充電の仕組みの一番のポイントは「交流電流」です。交流、つまり、時間的に変化のある電流がポイントになってきます。

ワイヤレス充電の種類

一言でワイヤレス充電と言っても様々な種類があります。

スマホを充電器に乗せて充電するような方法は接触型と呼ばれます。送電側と受電側を十分に近づけることで電気を送ります。

一方で、送電側と受電側を離した状態で電気を送る方法は非接触型と呼ばれます。ざっくり説明すると、照明の光を太陽電池側に電気を起こせるように、電磁波を使って電気を送る方法です。

今回は接触型に注目して説明したいと思いますが、接触型にも磁界結合方式電解結合方式という種類があります。以降でそれぞれ説明します。

磁界結合方式

スマホの充電器として多いのはこの磁界結合方式です。送電側と受電側がそれぞれコイルを持ち、コイル同士の相互作用で電気を送ります。あの平べったい充電器の中にはコイルが入っています。

これはカッコいい。スケルトンで中身が丸見えなMagSafeモバイルバッテリー
スケルトンタイプのかっこいいMagSafeモバイルバッテリーGLOTURE「GeeThor(ジー トール)」発売。

コイルに電流を流すと磁力が生じます。この時生じる磁力の向きはいわゆる「右ねじの法則」で、電流の回転方向をネジに例えて、その進行方向に磁力が生じます。

この時、コイルの上下に別のコイルを置いておけば、「電流が流れていない」コイルを磁力が貫きます。すると、磁力の変化を妨げる方向に電流が流れるのですが、これがいわゆる電磁誘導です。

「変化を妨げる方向」なので、常に磁力が変化していないと、連続して電流を流すことができません。交流で電流の向きを変え続けることで、磁力も上下が絶えず変化し、電磁誘導を連続して起こすことができます。

電解結合方式

交流回路にとってコイルと同様に重要な要素は、コンデンサーです。このコンデンサーを使った送電方法が電解結合方式です。

コイルの時は、送電側と受電側がそれぞれコイルを持っていましたが、電解結合方式では、送電側と受電側の間にコンデンサーを作ります

どうするかというと、送電側と受電側に2枚の金属板を設置して、それらを近づければ、空気を間に挟んだコンデンサーの完成です。回路的には2枚のコンデンサーを挟んで接続しているというシンプルな形になります。

直流だとコンデンサーが挟まっていると電流は流せないのですが、交流ではコンデンサーはある種の抵抗として働き、電流を流すことができます。

コンデンサーに電圧をかけると、プラス側にプラスの電荷、マイナス側にマイナスの電荷が蓄えられます。送電側のプラスの板の向かいはマイナスに帯電し、送電側のプラスマイナスが入れ替わるのに応じて受電側もプラスマイナスを入れ替えるように電流が流れます。

シミュレーション

ワイヤレス充電の仕組みが分かったところで、シミュレーションで実際に回路の動きを見てみましょう。シミュレーターとしてLTSpiceを使っています。

磁界結合方式

まずはコイルを使った磁界結合方式です。この方式では、送電側と受電側がそれぞれコイルを持って、コイル同士を近づけるのでした。

回路は下の図のように作りました。ポイントは電源をちゃんと交流電源にすることと、コイル同士を相互作用させるために結合係数Kを設定しているところです。

この回路で流れる電流をシミュレーションしたのが上のグラフです。緑が送電側、青が受電側で、丁度プラスマイナスが逆向きになっていることがわかります。これは電磁誘導によって、磁場の変化を打ち消すように逆向きに電流が流れることに対応しています。

電界結合方式

続いて電界結合方式のシミュレーションです。この方式では、送電側と受電側が二つのコンデンサーで接続されます。

回路図は下のようになります。一見、送電側と受電側が別れてないように見えますが、コンデンサーは間が離れた2枚の板なので、電線としては途切れているのがポイントです。

この回路をシミュレーションすると、上のグラフのように電流が流れます。こちらも送電側がプラス、マイナスと変化するのにつれて、受電側がマイナス、プラスと電流が流れていることが分かります。

まとめ

ワイアレス充電の仕組みをまとめて、シミュレーターでシミュレーションしてみました。シミュレーションだと手元にモノがなくても簡単に試せるので自由研究にも使えそうですね。

ちなみに、昨年は自由研究ネタとして、最短経路問題を解いて雷の軌道をシミュレーションしてみるという記事を書きました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました